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「Suara LIVE 2010 〜歌始め〜(1日目)」 レポート 2010.02.19


 4枚目のフルアルバム 『キズナ』 発売記念のワンマンライブとして、初の連続2Days公演、そして2010年が明けたばかりの1月2日、そして翌日1月3日の“お正月”という開催日程は、Suaraさんのキャリアの中でも初めてづくしのスペシャル公演である。2009年の秋、「赤い糸」 リリース当時 「まさに未知の領域、初めてづくしですごく緊張しています…。」 とSuaraさんは内心を語ってくださったが、久々のワンマンライブということもあり、どんなパフォーマンスを届けてくれるのか、期待しているファンの皆さんも多かったのではないだろうか。

 今回のライブ会場となるShibuya O-EASTは、バンドブーム真っ盛りの時代であった1991年に開業したライブハウスで、ON AIR〜ON AIR EAST(1994〜2002)を経て2003年に全面リニューアルした、ライブバンドのメッカともいうべき大型のライブハウスである。かつて筆者も何度も訪れたことのある思い出の場所であるが、邦/洋楽問わず、多くのバンドがこの “ON AIR” の舞台を踏んでアーティストとして大きく成長していった。そうしたアーティスト達と同じように、今Suaraさんも着実にさらなる高みを目指す階段を登っている。
前回のワンマンライブ会場であった横浜BLITZに勝るとも劣らない、収容人数1000人オーバーのキャパを誇るShibuya O-EAST前には、開場前から多くのファンが待機していた。ライブステージは横長で、ホールの奥行きは浅め。一番後ろからでもステージは遠くはない印象を受ける。音響設備も横浜BLITZと同等の最新システムを導入しており、これからのステージのサウンドも大いに期待できそうだ。

 会場が暗転し、SEに導かれSuaraさんが登場。会場からは割れんばかりの歓声が響き渡った。各メンバーが立ち位置にセットし、ドラムのカウントが鳴る。2010年のスタートとなる一曲目は 「adamant faith」 だ。会場は真冬の外気を感じさせないほど、瞬時に熱気を帯びた歓声に支配されていく。次に間髪入れず、おなじみの人気曲、「君だけの旅路」 と続き、最新シングル曲 「赤い糸」 と一気に流れ込む。スタート早々、猛ダッシュで駆け抜けるかのような展開にオーディエンスの皆さんも大満足の笑みを浮かべている。



 「明けましておめでとう!本当に良く集まってくれたねぇ。本番始まる前には心配で緊張してたんですが、皆さんの顔を見て安心しました。ディファ有明での 『うたわれ&TH2ラジオ合同イベント』 でも飲んだ某ドリンクを、今日は2本飲んじゃいました(笑)。すごい元気が出るんですよね。」 と新年の挨拶と、屈託のない笑顔で本年初のトークを始めるSuaraさん。
そして話題は年末で放映が終わったアニメ 『WHITE ALBUM』 について。Suaraさんの友人でもある水樹奈々さんが初出場した年末の 『紅白歌合戦』 の話に及び、前述したアニメの第一期オープニングであった 「深愛」 が歌われた場面を、リハーサルスタジオにて携帯のワンセグ放送で見ていたとのこと。「私自身も昨年の 『アニサマ』 で共演させてもらった思い入れのある曲なので、『紅白』 で歌われたということで、とても感慨深く思いました。」 というコメントを挟み、同作の第一期エンディングだった 「舞い落ちる雪のように」 が始まる。季節にフィットする落ち着いたバラードをしっとりと歌い上げ、「蕾-blue dreams-」「恋の予感」 と春の陽気を感じさせる爽やかな楽曲を披露し、お正月ならではの話題が上ったMCコーナーが始まる。

 「今回 “歌始め” ということで、お正月らしく “素亜羅(すあら)神社” 特製のおみくじを作ってみました!今回、“凶” は作っていません(笑)。正月早々、残念な気持ちになっちゃったらイヤですしね。」 と、細やかな心遣いを見せるSuara “宮司” さん。会場内からも報告の声が飛び交う。Suaraさん自身も楽屋で引いてあったものをステージ上で広げてみる。
「おお!大吉!」 と新年早々、幸先良い結果に大喜びのSuaraさん。会場からも拍手が起こる。バンドメンバーさんにもそれぞれ引いてもらったそうであるが、ギターの鈴木さんは “小吉”、ベースの川崎さんは “大吉” ということで、なかなかの結果。“信じるか信じないかはあなた次第!” と書かれた、今回の素亜羅神社おみくじ。恋愛や旅行、願望など、一般的なおみくじと同様の内容について一言書かれているが、Suaraさんの楽曲の歌詞が一部引用されていたりと、ファンには嬉しい内容となっていた。



 続いてはアコースティックアレンジのコーナーとなっており、「夢幻の丘」「春夏秋冬」「キミガタメ」「太陽と月」 が披露された。いずれもアコースティック・ギターやウッドベース、ドラムもジャージーなスネアブラシを用いたプレイで、全体的に大人びた落ち着きあるアレンジとなり、オーディエンスの皆さんもSuaraさんの歌声に聴き惚れているかのようだった。
しっとりとしたアコースティックコーナー明けのMCでは、恒例となっている “どこからいらっしゃったか” チェックが行われる。前回同様。海外からはカリフォルニアからの方、そして 「宝塚!」 と響き渡る声を上げた女性の方もいらして、今回も全国各地から集結しているようであった。そしてSuaraさんから、重大発表が。
 「皆さんの住んでいるいろいろなところにも行きたいと思っているのですが、次回のライブは日本を飛び越えて香港へ行くことが決まりました!」 とのコメントに、会場からは 「おぉー!」 という歓声と拍手が鳴り渡る。「お話をいただいた時はビックリしたんですが、是非来て欲しいというリクエストをいただきました。デビューから5周年目の節目となる良き年に、こういう素敵な機会をいただけて本当にありがたいなと思っています。初めての土地なので緊張していますが、頑張っていきたいと思います!」 とオーディエンスの皆さんの前で決意表明。
「もしかして、香港まで応援に来ていただける方って…います?」 というSuaraさんの問いかけに、開場からは何人もの方が手を挙げる。「あー、来てくれるんやぁ!心強いです!!」 と嬉しそうに語るSuaraさんであった。

 ちなみに今回のバンドメンバーは一新されており、和やかなファミリームードからアグレッシヴなロックテイストが漂うサウンドに変貌を遂げた。バンドマスターを務めるキーボードの安部潤さん、ギターは田村ゆかりさんのツアーでもおなじみの鈴木健治さん、ベースは川崎哲平さん、ドラムはSuaraさんも大好きなアメリカン・ハードロック・バンド、MR.BIGのヴォーカリスト、エリック・マーティンのバックバンドも勤めている波多江健さん、マニピュレーターは鈴木浩之さんという構成である。皆さんは一緒に演奏する機会も多いそうで、連携プレイが素晴らしい鉄板のグルーブ感を持っている。MCが明け、「水鏡」「花詞」「星座」 という深く蒼い色彩の楽曲たちを歌い切って、再び深遠な想いを込めたMCコーナーへと続いていく。



 「本当にライブ前は色々な想いが駆け巡ってパンクしてしまうんじゃないかというくらい、落ち込んだりしてしまうんです。初めてのワンマンライブだった2006年10月、私にとっては 『夢路への扉』 でもあり 『禁断への扉』 でもあり(笑)。何が “禁断” かといえば、開けてはいけないものではなくて、歌を歌うことで得る喜びも計り知れないんですが、それとはまた逆に知らなくてもよかったという想いも感じることもあったりして、歌を通して思うことは、楽しいことと辛いことと表裏一体だなって。」 ひとつひとつ、真剣に心の内を語るSuaraさん。初めてのワンマンライブが終わった際に、マネージャーから掛けられた問いかけについてを振り返り、何か大きなものを得るには、犠牲にしなくてはいけないものがいくつもあるのだ、という重い事実、それを受け止める覚悟についてを初めて自覚したという、当時の想いについても告白した。
 「歌と真剣に向き合おうとする時にそれが重荷になることもあるけれど、でもやっぱり今日のようにドキドキしながらステージに一歩踏み出した時に、こんなに温かく待っていてくれる皆さんがいる。本当に続けていかなきゃという想いの方が大きいです。いつもSuaraはこうでなくてはいけないと高い理想を掲げてしまうんですが、それに届かなくてへこんだりもします。その繰り返しで成長しているのかどうか判らないけれど、そうして悩みながらもずっと歌は人生とともに続けていきたい。今日改めてそう思いました。」 今、改めての決意表明に、会場からも温かい声援が届く。

 そして一呼吸置き、アカペラから歌い始めた曲は 「天使がみる夢」 。Suaraさんの大好きな90年代歌謡テイストと語っていたアップテンポの楽曲に続いては、同じ“動”の色彩を放つ 「フレンズ」 である。アルバムの枚数、そしてステージを重ねるごとに、ライブ映えする躍動的な楽曲が増えてきたと感じるのは筆者だけではあるまい。続く 「アオイロの空」 エンディングで、「今日は皆さん本当に温かい応援、ありがとうございました!皆さんにとって良いお正月、一年でありますように!後2曲になりました!まだまだこれから盛り上がってくださいっ、よろしく!」 と短いMCを挟み、レパートリーの中では一番のロックソング 「Free and Dream」 へと突入。オーディエンスの皆さんもイントロから拳を突き上げ、盛り上げる。間奏部ではメンバー紹介とともに各々のソロを披露してさらに会場のボルテージも上昇。一気にラスト曲 「夢想歌」 に流れ込む。
2コーラス目の途中、Suaraさんが歌詞を忘れてしまい、オーディエンスの皆さんが助けるという一幕もあって、双方の “キズナ” が垣間見られた。ちょうど “支えてれくれる人がいて” というフレーズに繋がる箇所でもあり、何か導かれたような特別なものを感ぜずにはいられなかった。
一気に “動” の楽曲達を歌い終え、「ありがとうございました〜!」 と感謝の声をステージ上から振りまくSuaraさん。ステージ袖に入ると同時にアンコールの声が会場を包み込む。徐々にその声が大きくなり、最後には会場全体で “Suaraコール” が始まる。



 Tシャツ姿にバンドメンバー全員が着替え、ステージに再び登場。アンコール一曲目 「明日へ-空色の手紙-」 がすぐに始まった。続いてファンにはおなじみの 「トモシビ」。間奏 「新年初めての“トモシビ”です。一緒に歌ってください」 とのSuaraさんの声に、間奏明けは会場全体でサビの大合唱となった。
アンコールの2曲を歌い終えたSuaraさん。 「さっきは夢想歌ではとんだハプニングを(照笑)。たまにとんでもないことをしてしまうんですが、他力本願の性格直さなきゃって思うんですが、いつも皆さんに元気をもらっています。ちょうど良い歌詞のところで間違えましたが、失礼しました」 とご愛嬌のコメントも飛び出し、会場の笑いを誘う。
「新年明けてすぐのライブにたくさん集まっていただいて本当にありがとうございました!プライベートなことなので発表すべきか、ためらいがなかったかといえば嘘になるのですが去年9月、結婚しました。今までもずっと自然体でやってきたつもりだし、これからも自然体にやっていきたいなと思っているので、そういうところでいつも応援してくださっている皆さんにはきちんと報告したいと思ったんです。」 とご結婚に関しての胸の内を明けてくださった。
 「音楽をやっていく環境は以前とは変わってきましたが、歌うことはずっと変わらずにやっていきたいなと思っていますので、是非これからも応援をよろしくお願いいたします。」 との言葉に祝福の拍手が盛大に響く。

 「皆さんに感謝を込めて、そして普段ライブには来られない、遠い故郷にいる両親や、92歳のおばあちゃんにも。今も遠くからライブの成功を祈ってくれているので、家族にもこの曲を捧げたいと思います。最後の曲聴いてください。『Crystal Tears』。」 Suaraさんらしい誠実なMCを受け止めるように優しいイントロが流れる。
実はこの日、入場の段階でスタッフサイドからのアイデアで、来場者全員にサプライズとしてSuaraさんには内緒にしてサイリュームが配布された。白いサイリュームの灯が会場全体を明るく照らし、Suaraさんへの贈り物として輝く。
 「今日は本当に最後まで温かく見守ってくださっていただいてありがとうございました。今年一年皆さんにとっても良い一年になるよう私も唄を歌いながら祈っています。お互い良い年にしましょう!」 との言葉に続いてメンバー紹介が行われ、最後に 「そしてヴォーカルはみんなのSuaraでした!」 とオーディエンスの皆さんに微笑みかけるSuaraさん。会場は一段と温かいムードに包まれ、 「Crystal Tears」 最後の大サビをクライマックスに向け、情熱深く歌い上げた。

 終演後、Suaraさんに挨拶へ伺った折、「『夢想歌』、何百回って歌ってきたのに!」 と歌詞が抜け落ちてしまったことへの猛省がSuaraさんからの第一声だった。心配でしかたなかったとライブ冒頭で語られていたことが嘘のように堂々としたステージングに対し、常に良いパフォーマンスをしていきたいという向上心からくるであろう、反省振りが “理想高きSuara像” なのだろう。そうした中でもSuaraさんは 「お客さんからもすごいパワーを貰いましたよ。あの皆さんの笑顔には本当に安心します。」 と嬉しそうに語り、翌日へ向け、気合を充填しているように思えた。

レポート:岩井 喬


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