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「Suara LIVE 2008 〜太陽と月の調べ〜」 レポート2008.09.25


 待望のサード・アルバム 『太陽と月』 が発売されてから一週間あまり。まだまだ夏の日差しが残っていた2008年9月6日、アルバム発売を記念した 『Suara LIVE 2008〜太陽と月の調べ〜』 が横浜BLITZで催された。この横浜BLITZは1階スタンディングで最大1400人、2F席300人収容が可能な大型ライブハウスである。ロックバンドにとっては一つのステイタスともいえる大きめのハコであるこの会場でSuaraさんはどんなステージを見せてくれるのだろうか。

 普段の穏やかで温かみのある歌声からはなかなか想像できないが、HR/HMのWHITE SNAKEやJOURNEYのアルバムが好きで 「ロックスピリットを胸に秘めて歌っているんですよ」 と語るSuaraさんにとっては、むしろ最適な会場といえるかもしれないな、と一人考えながら、ライブハウスへと向かった。会場の周りには早い時間から駆けつけて、開場の時間を待つオーディオエンスで溢れている。その一人一人からはショウへの期待がこもったオーラを感じ取れた。




 入場が始まり、開演間近な頃には1階のエリアはほぼスタンディングのオーディエンスで埋め尽くされていた。中堅ロックバンド顔負けの動員ではないかと思えるほど会場は活気に溢れている。そんな中、1ベルが鳴り、会場内に歓声が響き渡る。その期待を高めるようにBGMの JOURNEYの 「OPENED THE DOOR」 の音量も上がり、ライブのイントロダクション曲が流れる。まさにこれから幻想的な “ショウ” の扉が開かれるのだ。

 曲中、メンバーに引き続きSuaraさんがステージに登場。会場のボルテージも一気に上昇してゆく。ライブのスタートは 『ティアーズ・トゥ・ティアラ-花冠の大地-』 の主題歌 「haunting melody」 だ。前回のライブとは打って変わり、Suaraさんの衣装は快活なボヘミアン調のトップとジーンズという出で立ち。アルバムをパッケージされた “陰” と位置づけるなら、ライブは収縮したパッションを開放する “陽” の場。それを身を持って表現するかのごとく、1曲目からエネルギーを爆発させるSuaraさん。立て続けに夏の空気が残るこの時期にもぴったりな 「光の季節」 に突入。煌びやかなオープニングに彩を添えた。
 ライブハウスとはいえ2階席まである横浜BLITZのステージはかなり広めで、バンド全体がゆったりと配置されている印象。また 『太陽と月』 を象徴するデコレーションがステージ上に設置され、演出効果を倍増させている。加えてステージの中央には “お立ち台” が設置され、前回のライブから何倍もパワーアップした舞台となっているようだ。
 続いてステージは落ち着いたライティングに変わり、前回はアンコール前のエンディングであった 「キミガタメ」 が始まる。会場内からは 「ここで来るのか!」 という驚きの歓声が。オープニングからの勢いに乗り、 “静かな情感” というよりも “溢れ出る情熱” に満ちたパフォーマンスである。

 歌い終え、本日初めてのMCコーナーに突入。Suaraさんの快活な挨拶のあと、早速 「オープニング早々 『キミガタメ』 を歌いましたけど、まだ終わりじゃないですからね(笑)。まだ来たばっかり、ってまた言われちゃう」 との一言。これには会場内からも笑いが漏れ、開始早々横浜BLITZ全体が温かい空気に包まれる。こうしたオーディエンスとの掛け合いも回を重ねるごとにより親密なものとなっているようだ。

 MC明けはニューアルバムから 「June」 「水鏡」、そしてファンにはおなじみの 「はじまりの約束」 「遠い街」 と続く。今回のステージではこれまでのバンドメンバーに加え、ギターの福田伸也さんが加入。下谷淳蔵さんとのツインギター・サウンドは、より厚みと幅のあるステージングを実現している。バンドサウンドを支える縁の下の力持ち、リズム隊を構成するドラムの渡部真吾さんとベースの相澤卓也さんは、Suaraさんの日記で明かされているが、去年からこのライブに向けて “秘密特訓” を重ねていたとのこと。ライブハウスの持つ、引き締まった低域の音響効果もあり、非常に息の揃ったリズムがしゃっきりとしたグルーブを生み、バンド全体を引っ張っている。そしてバンドを執りまとめるリーダー役、キーボードの井内竜次さんのプレイも非常にツボを得たもので、バンド全体がとても強力なチームとなっている様子がサウンドからも伝わってくる。

 ここで再びMCを挟むが、 『太陽と月』 のセッションにおいて収録されなかった新曲が存在すると発表するSuaraさん。会場の皆さんも真剣な様子のSuaraさんに引き込まれて、その重大な発表の先を聞き逃すまいと、ライブハウス全体が静まり返る。と、そんな会場の様子に一瞬心配になったのか、 「ここは 『オゥー』 とかいってくれないの?」 と逆に突っ込むSuaraさん。会場は笑いに包まれ、和気あいあいとしたムードに切り替わる。その新曲とは現在開発が進められている、PC版 『痕』 のオープニング曲となる 「花詞」 であると、改めてSuaraさんが語る。 「3年前にこの曲に出会って運命的なものを感じた」 と、その思い入れの深さを伝え、 「花詞」 を披露。幻想的なスモークが立ち込めるステージにて、その深遠な世界を澄んだ歌声で聴かせてくれた。そのまま続けて 「星座」 へと繋がり、オーディエンスもじっくりSuaraさんの歌声に耳を傾ける。

 今日のライブの直前には、さいたまスーパーアリーナで開催された 『Animero Summer Live 2008 〜Challenge〜』 にも出演を果たし、オープニングの 「haunting melody」 とこの 「星座」 を披露したというが、2回の 『アニメロ』 出演や昨年のライブツアー、そして 『Pure』 セッションを経て、確実にSuaraさんのボーカルの表現力も深みを増しており、パワーアップしたバンドと一体となって、非常に説得力のあるライブパフォーマンスとなっていることを実感した。その後のMCでも 『Animero Summer Live 2008 〜Challenge〜』 出演の報告があり、共演者の楽屋内での様子に、歌い手のプロとして非常に触発されたというエピソードなどが語られた。

 MC明けは 「真昼の月」 「brand new days」と続き、今回のライブで一つのハイライトともいえる 「クロール」 に突入。エレキギターを “テレキャスター” に持ち替えた下谷さんのプレイは、ロックチューンに相応しい、ドライなクリーントーンを聞かせ、曲全体にドライブ力が生まれる。Suaraさんも水を得た魚の如く、生き生きとステージを駆け巡り、会場を盛り上げる。まさにライブのために生まれた曲といっても良いほど、この空気感にぴったりだ。おそらく今後のライブでも定番になりえる一曲になるであろう。歌い終え、満足げに 「私、うまく波に乗れてたかな?」 とクロールをする仕草をしながら語りかけるSuaraさん。会場の誰もがその言葉に頷き、声援を送っていた。

 そしてステージはラストに向け一気にスパートをかける。ギターのフレーズから始まるアレンジとなった 「蕾〜blue dreams〜」 から 「アオイロの空」「君だけの旅路」、ラストの 「夢想歌」 と続いていき、オーディエンスのボルテージも最高潮を迎える。 「アオイロの空」 ではセンターに設けられた “お立ち台” へとSuaraさんが駆け登り、会場を盛り上げ、 「夢想歌」 では今回からの醍醐味であるツイン・ギターソロが披露され、息のぴったり合ったサウンドに歓声が上がった。人気曲のオンパレードで会場内の誰もが大満足といった顔に満ちていたが、その様子はそのままSuaraさんにもダイレクトに伝わっていることだろう。

 今回のライブでは海外から参加されている方も居られて、どこから来ているのか、というSuaraさんからの問いかけに 「California(カリフォルニア)!」 と1階奥の方から声が届き、会場内から驚きと歓迎の歓声が上がる一幕もあった。また、Suaraさんからは 「最近髪を切りましたが、 『長かった方が良かった』 という声もいただきました(笑)。アンケートにぜひ、長い髪と短い髪、どちらが良いか書いてくださいね。…参考にはしないと思いますが(笑)」 というお茶目なMCがあったりと、物理的にも、そしてオーディエンスとの心の間にも、Suaraさんとの親密な距離の近さを感じ取れるライブとなっていた。

 アンコールの声が盛大に響き、ほどなくしてSuaraさんをはじめ、バンドメンバーの皆さんがステージに戻ってくる。Suaraさんはふわりとした雰囲気の上着に着替えて登場。本編での動= “太陽” のイメージから静= “月” のイメージへと切り替わったかのようである。アンコールの一曲目はニューアルバムの最後を飾る 「memory」 だ。アルバムでは荘厳なストリングスで満たされたサウンドであったが、ライブではアクセントとなるエレキギターが流れ込んで、より深い情感を誘う。Suaraさんのしっとりと歌い上げる声にオーディエンスも聞き入っていた。続く 「トモシビ」 はアコースティックなジャズの雰囲気を持ち込んだアレンジとなっており、新たな感動を呼ぶ。最後は恒例となった会場一丸となった大合唱で締めくくられ、全体がとても温もりに満ちた空間になっていく。

 そして 「まだライブで歌っていなかった大事な一曲を最後に歌います」 という最後のMCをはさみ、アルバムのタイトル曲 「太陽と月」 が披露される。アンコール・セッションは非常に落ち着いたSuaraさんならではの持ち味が活かされたステージとなった。

 全ての演奏が終わり、万感の想いを込めてステージ上から 「ありがとう!」 とお礼の声を投げかけるSuaraさん。オーディエンスからの拍手も鳴り止むことなく、最高のステージだったと訴えかけているかのよう。とても心のこもったライブパフォーマンスに、誰もが喜んでいたと実感できた。
ライブ後、Suaraさんからは 「前回のライブBD/DVDをじっくり見て、今回ライブに来てくださる方も多いだろうから、比較されると思うと、とても気も引き締まって緊張したんですよ」 と、その心境をうかがった。ライブ直後ではあるけれど、冷静に自分の状況を見つめる姿にまた感銘を受けたが、素直に、そして真摯に物事を受け止めるSuaraさんを見ていると、どこまでこの人は伸びてゆくのだろうか、と期待せずにはいられなくなる。
次回のライブパフォーマンスでは、どんな姿で我々を惹きつけてくれるのだろうか。今は楽しみにその機会を待ちたいと思う。

レポート:岩井 喬







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